パリで国際会議デビュー…!? 電気保安協会の若手社員が見た世界の電気保安事情とは(前編)

更新日:2024.04.10投稿日:2024.04.10

電気保安協会全国連絡会では、海外の電気保安の組織と定期的に情報交換を行っています。2023年10月、本部をパリに置く、電気設備の検査関係業務を手がける公益法人、フランス電力需要家保安協会(以下、CONSUEL)との情報交換会へ、電気保安協会の社員3名が参加しました。WattMagazineでは、普段は耳にすることができない気になる海外の電気事情について伺おうと、3名に会議を通して学んできたことをインタビュー。それぞれ、どんな景色を見て、学んで、感じてきたのでしょうか…?

今回のインタビューにご参加いただいた3名

九州電気保安協会 加藤明人さん 1991年2月生まれ。熊本県出身。入社後、大分支部へ配属。保安管理業務や試験・技術業務に従事し、2017年より本部に異動となり、現在は事業部保安Gとして保安業務全般に関わる業務を実施しています。 四国電気保安協会 福本康二朗さん 1987年8月生まれ。高知県出身。地元の工業高校を卒業し、2006年入協。現場で保安管理業務に従事し、2017年からは本部に異動となり、現在は監視装置の開発・運用と技術教育を担当している。   中部電気保安協会 堀米治仁さん 1989年2月生まれ、2010年に中部電気保安協会に入社。自家用電気工作物の保安点検業務に従事し、現在は本店保安部運営グループに所属。太陽電池発電に関する業務を行っています。

三者三様の参加理由とは

――フランス電力で需要家保安協会(CONSUEL)との情報交換会へご出席された理由を教えてください。

福本さん:前回2020年に日本でFISUEL(国際電気保安連盟)の年次大会が開催される予定だったのですが、コロナの影響で中止になってしまったんです。私は当時参加する予定で、プレゼンの準備をしていたので、すごく残念で…。それから4年、2023年度の参加募集の案内を聞き、「今回こそは!」との思いで参加しました。 加藤さん:一番の参加理由は、「自分自身の成長につなげたい」ということでした。海外渡航の経験もなく、なおかつ国際会議での発表は初めて。異なる文化や視点を知ったり、グローバルな問題やそれに伴う取り組みを理解したりと、自分の視野を広げる良い機会にもなると思ったんです。 また、プレゼンやディスカッションのスキルを向上させたい、他国の専門家からのフィードバックをもらい、それをもとに自分のスキルを磨いていきたいという思いもありました。そして、わたしが参加して実績を残すことで、海外出張でどのような経験が積めるのか、どのような挑戦ができるのか、後輩にも道を示すことができればいいなと。 堀米さん:日本は電気保安制度により電気使用の安全性が保たれています。その中で私は、他国がどのような保安を行っているのか興味があったため、海外の電気保安事情を学ぶべく、参加しました。

――皆さん、現地で各々にプレゼンをされましたが、準備は大変だったのではないでしょうか。

福本さん:私の発表テーマは「日本の住宅及び業務用施設の電気保安検査制度」。 電気事業法などの法律用語を多用していたため、英訳については国が公式に発信している翻訳に合わせたり、イラストを使って分かりやすい表現にしたりと、どの国の誰が見ても一目でわかるよう、工夫を凝らしました。

加藤さん:今回は「太陽光発電設備の現状と将来へのビジョン」というテーマで発表を行いましたが、フランスやインド、韓国など、電気分野における法規制や技術的な側面が大きく異なる国々の方々に意義のある情報を提供しなくてはなりません。また、彼らが求める情報を考えたうえで、一目でわかるような資料とする必要がありました。 そのため、所属する部内、支部、および事業所のみなさんなど、多くの方々にご協力いただき、試行錯誤を重ねて、資料を作り込んだんです。一番大変だったのは、台風等の自然災害による被害状況を他国の方々に伝えるために、各所に写真の使用許可を取ったことです。お客さまに使用許可をいただくまでの道のりがなかなか長くて…苦労しましたね。

堀米さん:今回は「日本における太陽電池発電の竣工検査と定期点検」というテーマで発表を行いましたが、日本の電気設備について何も知らない人に対し、どのような言葉を選べば伝わるのか、何度も修正しながら発表資料を作成しました。周囲の方々から多くのアドバイスを貰い、完成した時は本当に嬉しかったです。

豊かなコミュニケーションができるようになれば、相互理解がより深くなる

――現地で苦労したことはありますか。

福本さん:フランス語は習得に時間が必要なので今回は見送りましたが、共通言語として、もう少し英語が話せるといいなと。食事など、フラットに話せるタイミングで英語がスムーズに話せると、もっとコミュニケーションを深めることができたのでは、と少し反省。今回は携帯電話の翻訳アプリを駆使して会話をしましたが、もっとしっかり意思疎通ができるよう、英会話も身につけていきたいですね。 加藤さん:羽田空港からシャルルドゴール空港までのフライト時間はおよそ約14時間。そのうえ、時差が7時間もあるため、到着からしばらくは時差ボケの影響を強く受けました。 また、日本とは異なりフランスは空気が乾燥していたので、喉を傷めてしまいました。そのため、現地の薬局へ訪れたのですが、私は英語もフランス語も話すことができません。翻訳アプリを使ってなんとか伝えようとしたら、現地の方が丁寧なジェスチャーを交えながら薬の使い方を説明してくれました。環境が大きく異なる地へ行くときは、事前にそこの気候などを踏まえ、体調管理もしっかり行うべきだと学びました。

堀米さん: 昼食や休憩時間に、他国の参加者と話すことがありましたが、言語がフランス語か英語であったため、翻訳アプリを駆使しても会話には大変苦労しました。全身を使ったジェスチャーでコミュニケーションに努めましたが、やはりもっと英会話スキルが欲しいですね。

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