電気の資格のアレコレ
電気工事士の問題を解いてみようシリーズ 技能編①
ボタンひとつで灯りがついたり、消えたり、とても身近でとても便利な「スイッチ」。電化製品を使う際に必ず必要な「コンセント」。電気工事士の試験でも重要かつ欠かせないこの2つについて、今回は種類と特徴、試験問題での作業内容を詳しく解説します。
目次
自宅のスイッチやコンセントの中身はこうなっている!
家のスイッチやコンセントを観察してみると、さまざまな形状があることに気づくのではないでしょうか。
一般的には用途や建物のデザインに合わせて選ばれており、使い方も配線により異なります。この回では、その種類と実際の技能試験で問われる作業についてご紹介します。
① 1か所で点灯させるスイッチ
もっともよく見かけるのは、1か所で点灯させるスイッチです。このタイプは写真1のように、スイッチボタンの右側に●やⅠの印が入っており、右側の印は、「右側に押す(倒す)と、電気が流れ、電灯などが点灯する」ことを表します。
下図のように、配線もとてもシンプルです。
黒線上のAの部分がスイッチの記号です。この部分がつながる=「スイッチボタンを右側に押した(倒した)」ことになります。
写真2は電灯が点灯、もしくは換気扇が回転すると右側に赤色が点灯する「確認表示灯付スイッチ」です。点灯中は使用している=電気が流れていることを意味します。写真3は電灯などが消えているとき右側に緑色が点灯する「位置表示灯付スイッチ」です。暗い所でもスイッチの場所が分かるようになっています。
② 2か所で点灯させるスイッチ
1階から2階につながる階段の電灯のように、同じ電灯を2か所で自由につけたり消したりすることがあると思います。このように、自由に点滅させるためのスイッチを「3路スイッチ」といい、配線の仕組みは以下のようになります。
黒線上にスイッチが2個あり、どちらの方向でも(スイッチボタンでいう右に倒しても左に倒しても)接続できるようになっています。また、この2か所のボタンのうち1か所で接続できれば電灯は点灯する仕組みです。よって、スイッチボタンには点灯する方向(右に倒す左に倒す)は決まっておらず、表示灯のような印もありません。
③ 3か所以上で点灯されるスイッチ
②の応用で、3か所以上の場所から同じ電灯などを点滅させることもできます。その場合は、2個の「3路スイッチ」の間に「4路スイッチ」というものを入れ、実質2か所で点灯させる仕組みの間にもう一つスイッチを付けるようなイメージです。よって、3か所の場合は2個の「3路スイッチ」と1個の「4路スイッチ」で対応でき、4か所の場合は2個の「3路スイッチ」と2個の「4路スイッチ」を使用します。配線図は以下の通りです。
④ その他のスイッチ
ある動作で自動的に入るスイッチや遠隔で使用できるスイッチがあります。
- 自動点滅器:周囲が暗くなると電灯などを点灯させ、明るくなると消灯させる自動スイッチ。
- 熱線式自動スイッチ:人がスイッチに近づくと電灯が点灯し、一定時間後に消灯する自動スイッチ。
- リモコンスイッチ:離れた場所から電灯などを点灯したり、消灯するスイッチ。スイッチの左上に緑のランプ(消灯時点く)、右上に赤のランプ(点灯時点く)
⑤ コンセント
コンセントにも様々な種類がありますが、電圧や許容電流の大きさで刃形が異なります。
- 100V15Aのコンセント…縦方向に並行で左側が少し長くなる。
- 100V20Aのコンセント…縦方向に並行で左側が少し長く、さらに口が曲がっている。
- 200V15Aのコンセント…横方向に一列に並んでいる
- 200V20Aのコンセント…横方向に一列に並んでおり、さらに左側が曲がっている。
差込プラグの先の穴は、コンセントから差込みプラグが抜けないように穴にストッパーが引っかかるようにするためのものです。
スイッチやコンセントの土台にあるのはスイッチボックス
①壁の中にはスイッチやコンセントを設置するための土台になる「スイッチボックス」が
取り付けられています。
②組み立てたスイッチやコンセントは、スイッチボックスへ設置してカバーをかぶせて完成です。
電気工事士技能試験では、コンセントやスイッチを使ったこんな作業がある!
実際に作業を行うことで、仕事でも行う作業内容を体験し、達成感も得られるため、楽しみながら試験対策ができると思います。ぜひ、自分の手で作業を行ってみてくださいね。
プロフィール
TAC電気工事士講座 三原 政次(みはら まさじ)講師
1950年鹿児島県生まれ。東芝テクノネットワーク(株)を経て「オフィスみはら」として電気工事や家電製品についての講師業を開設。現在は大学非常勤講師、企業講師としても活躍中。
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