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電気の力で料理が美味しくなる?電気調味料の仕組みを解説!
塩分の摂りすぎると血圧が上がるため、ごはんは薄味で作ることが好まれますが、何か少し、物足りなさを感じてしまう人も。
実は「電気」を利用して塩味や料理のうま味を増強できるデバイスがあるんです。実際には塩分量が少なくても塩味などを感じることができるので、しっかりとした味に仕上がります。今回は別名「電気調味料」とも呼ばれている電気を利用した商品について解説していきましょう。
なぜ、電気の力で塩味を感じるの?
普段の食事では口の中に食べ物を入れると目に見えない「プラスイオン」が舌にくっついて味を感じています。しかし、実際にはこのプラスイオンはほとんど舌に付く前に離れてしまいます。そのため、多くの人は味が物足りないと塩をふったり、醤油をかけたりして味を追加しますが、それが塩分の摂りすぎにつながってしまうのです。
電気の力を利用すれば、通常離れるプラスイオンを舌側に引き寄せることができるため、その分、いつも以上に塩分やうま味を感じることができます。
魔法のツール「エレキソルトスプーン」
2024年5月にキリンホールディングスが発売した「エレキソルトスプーン」は、本来離れるプラスイオンをスプーン先端に内蔵されている電極に電気を通すことで、食事を口に入れると今まで以上にて強く味を感じる事ができるスプーンです。
使用する際、微量の電気が流れますが、この電気は人体に影響があるものでもなく、食べている時に「ピリピリ」と感じることもありません。しかし、ぺースメーカーなどを利用している場合や妊娠中などは利用を控えるよう、注意して下さい。
このスプーンは電流の強さを4段階に替えることができ、必要に応じて塩味やうま味を調整できるそう。最初は強めの電流で食べたり、徐々に電流を弱くしたりするなど、自分のペースで減塩することができます。ストレスなく、それでいて体に負担をかけることなく、食事を楽しむことができるのです。
電気調味料はまだまだ進化する!
「エレキソルトスプーン」は、カレーやスープなど、主に液状の食べ物で効果を感じられるとのことで、固体の食べ物には効果が薄れてしまうようです。現在、味の素が研究開発している「ネックバンド型デバイス電気調味料」は、顎から首の後ろに引っ掛けて微量の電流を流して味をコントロールするため、固体の食べ物も塩味やうま味を感じることができるようになっています。また、普段使用している箸やスプーンで味の変化を楽しめるため、外出先でも気軽に利用可能です。
高血圧の方や医師に塩分を控えるように注意されている方には、食事を楽しむためのツールになるのではないでしょうか。
まとめ
現代人にとって、塩分の摂りすぎは社会課題にもなっており、健康被害や寿命にも大きく関わってくるものです。
これらの製品が日常的に使われるようになれば、私たちの食生活は大きく変化していくでしょう。塩味やうま味の増強に着目した商品だけでなく、甘味や辛味の調整も研究されているそうです。
身近な電気ですが、視点を変えればこのように便利な製品開発につながっていくのです。