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電気パンって何?〜電気パンの歴史と電気を活用してパンを作るメカニズム
現代は数多くの調理家電があるうえ、和食以外の料理方法に関する情報も増えているため、家庭で多種多様な料理を作ることができます。
今回ご紹介するのは電気の力だけでパンを作る「電気パン」。電気パンの歴史からメカニズム、簡単な作り方について解説します。
電気パンとは
電気パンとは、電気の力だけで作るパンのことを言い、メカニズムは「ジュール熱」にあります。
ジュール熱は小麦粉に含まれる電解質に電気を通すと発熱します。電気を通す際に、小麦粉内の水分があるうちは発熱しますが、水分がなくなると抵抗値が大きくなり、最終的には電気を通さなくなります。ここがポイントです。通常、トースターなどは設定時間を調整しなければ半焼けや黒焦げになってしまいますが、電気パンは電気が止まると自動的に加熱が終了するので、丁度良い食べごろのパンが勝手にでき上がるのです。そのため、セッティングさえしてしまえば、後は放置している間においしいパンが焼き上がります。
電気パンをつくってみよう!簡単な作り方を紹介します
ここでは、家庭にあるものやスーパーやホームセンター、100均などで手軽に入手できるグッズをもとに作り方をお教えします。
材料
- ホットケーキミックス
- 水(または牛乳)
- 牛乳パック
- チタン板などの鉄板2枚
- クリップ2つ
- ワニ口付き電源コード
作り方
まず、牛乳パックを横半分に切って、中にホットケーキミックス100gと水を100g入れて混ぜます。次に牛乳パックの内側に沿うように鉄板を対角に2枚下まで入れ、クリップで止めます。その後、軽く牛乳パックをトントンと落として板に密着させましょう。最後に2枚の鉄板にワニ口付き電源コードをとり付けて電源を接続します。この時、鉄板に電気が通るので絶対に触れないようにして下さい。
後は放置しておくことで、どんどん膨らんできてパンが焼けます。焼き終わってもしばらく熱いので注意しながらワニ口を外しましょう。牛乳パックを切ればそのまま食べることができますよ。鉄板を通して電気を流すことで、ホットケーキミックス内の電解質に電気が通り、水や牛乳の水分がなくなるまで熱を通し続けます。パンというより蒸しパンに近いですが、水分がなくなれば丁度良い固さのパンとなります。これが電気パンです。
電気パンの歴史
電気パンの歴史はおよそ80年前、戦後の日本が起源であると言われています。
当時は敗戦後の食糧難で、今のように、コンビニやスーパーが近くにはなく、どこでも食べるものが買える時代ではありませんでした。家庭の調理器具は、戦争によって全てなくなり、毎日の食事すら困難な状況で、配給される限りなく少ない食糧で食事をしなければならないのが当たり前の日々だったのです。
そんな中、食糧として良く配給されていた「小麦粉」と戦争で出た廃材などを集め、少ない電気を使用してパンを焼く方法が確立されました。このような工夫によって、限られた状況でも食べつなぐことができたと言われています。
まとめ
電気パンの歴史は戦後の貧しい時代背景が元となり、今の便利な調理器具の礎にもなっています。
段取りさえ間違えなければ誰でも簡単にパンが作れるので、友達や家族と一緒に作ってみてくださいね。