現場レポート
「電気を止めるな!」電気保安業務に従事する僕が伝えたいこと 前編
「電気業界はこのままで本当に大丈夫かな?」
電気の世界に身を置く僕が、今、肌で感じている不安、そしてあなたに伝えたいこと。
簡単な自己紹介から
僕のブログでも記載していますが、簡単に自己紹介をさせていただきます。
僕は、私立大学大学院電気科を卒業後、2社の大手メーカーで開発職(電気製品)を経験し、現在は中小企業にて施設管理の仕事をしています。2019年に第三種電気主任技術者試験に合格。2020年の現在では電気保安業務に従事しています。
経歴からもわかるように、電気に強く精通している日本のエンジニアの一人でございます。
今回、僕が現在従事している電気保安業務に関して伝えたいことがあるため筆をとりました。電気保安業務とは、電気設備の点検をするお仕事です。あなたの生活に欠かせない電気を、安全に使えるように守るお仕事になります。
しかし、その電気保安業界において現在大きな問題となっているのが「電気主任技術者人材不足」です。
こちらについて経済産業省が公開しているデータをもとに、電気業界の未来についてあなたと一緒に考えていきたいと思います。それではまず、そもそも電気主任技術者とはどういったものかについて触れていきましょう。
電気主任技術者とは
あなたの周りにあるスーパーや飲食店、工場やショッピングモール、浄水場、下水処理場など。これらの施設を運用するためには、とても大きな電気(高圧もしくは特別高圧)が必要です。大きな電気を利用することで生活に必要なものが稼働できますが、その反面で大きなリスクが伴います。
もし電気設備が壊れていたり、電線が切れてしまっていたりしたら、そこで働く従業員やあなたが感電する、または漏電して火事が起きる可能性があるからです。
このような危険を未然に防ぐために、定期的に点検し、電気設備を常に安全な状態に維持管理する必要があるのです。とはいえ、広く深い知識がないとしっかりとした点検ができません。そこで登場するのが電気主任技術者です。
電気主任技術者は、難関な国家資格を突破した人のみが名乗れる電気のスペシャリスト。電気主任技術者がいることであなたの生活は守られていると言っても過言ではないでしょう。
ただ、そこである問題が浮上してくるわけです。それが、電気主任技術者不足という問題です。そのことについて経済産業省の方でデータが開示されていますので、照らし合わせながらこの問題について考えていきましょう。
電気主任技術者が足りない
上記グラフから文言を抜粋します。
「業務ビルの増加と人材の供給減により外部委託を担う保安業界の第三種電気主任技術者が2045年 には想定需要約1.8万人に対して4千人程度不足する見込み」
つまり、第三種電気主任技術者のうち外部委託を担う人材が足りないのです。やや専門用語が多いので、もう少しわかりやすく説明しましょう。
電気主任技術者には第一種〜三種まで3つ存在します。一種が一番高い電圧(二種、三種の範囲も適応)、三種が一番低い電圧の設備を維持管理できます。電圧が高ければ高いほど、危険が伴うため、いわゆる高圧や特別高圧と呼ばれる設備には電気主任技術者を選任せねばならないと法律で決められているのです。
後編へつづく
プロフィール
どわーふ
私立大学大学院(博士前期課程)卒業後、大手メーカーで電気部品の開発業務に従事。現在はとある施設にて電気主任技術者として高圧電気保安業務を担当している。また、フリーライターとして「電気主任技術者が運営する就活転職応援サイト」を運営中。