現場インタビュー
電気とは何か? 23年の仕事を通じて気づいた電気の偉大な力
電気一筋のベテラン電気主任技術者が沖縄にいました。沖縄電気保安協会で働く萩原一貴さんは生まれ育った沖縄の電気を守り続けて23年。今回、萩原さんにご自身のキャリアを振りかえっていただきました。キーワードは「変幻自在」。暑さが続く8月の沖縄で話を聞きました。
目次
知らない世界を覗けるこの仕事が楽しい。辞めたいと思ったことはない!
――萩原さんは普段どんなお仕事をされているんでしょう。
「主に工場やビル、病院、学校など施設では、高圧受電設備を使用しています。その電気設備の保安管理業務をしています」
――この仕事に就こうと思った理由を教えてください。
「もともと本土(沖縄県以外の都道府県を意味する)の大学で電気を専攻しており、学んだことを活かせる仕事を地元・沖縄でしたいと思っていました。本土は沖縄県民の私からしたら寒いんですよね(笑)。なので、年中温暖な気候の沖縄で働ける仕事を探していたら、沖縄電気保安協会を見つけて、『ここだ!』と思い、応募しました。新卒で入社して、あっという間に時間が流れ、今年で23年(2020年8月時点)が経ちましたね」
――勤続23年ですか! 辞めたいと思ったことは?
「この仕事って楽しいから、辞めたいと思ったことはないんです。いろいろな施設の奥に入り電気設備の点検をするので、知らない世界を覗けたような気分になりますし、視野が広がります」
電気事故を起こす可能性もある。だからこそ勉強し続けないといけない
――どんな時にやりがいを感じますか?
「感謝された時にやりがいを感じますね。停電などの電気トラブルに遭ったお客さまから電話相談がきて、現場へ行って原因を究明し、復旧させる。そんな時、お客さまから助かったとお礼を言われると、お客さまの役に立って嬉しいと思いますし、この仕事をやっていて良かったと感じます」
――この仕事をしていて辛いと感じることは?
「う~ん、正直に言うとないんですが。あえて挙げるなら、いろいろな場所へ行くので、いろいろなお客さまに会います。その人、その人に合わせたコミュニケーションを取るのが難しいと感じる時があります。私はそんなに喋りが得意な方ではないので、どうやってコミュニケーションを取ればいいのか悩むこともあるんです」
――この道一筋の萩原さん。23年間でどんなスキルを培ってきましたか?
「スキルと言っていいのか分かりませんが、味覚以外の感覚を研ぎ澄まして、電気設備の異常を察知する力が付いたと思います。点検している時も、電気が問題なく使えているので問題ないように見えますが、見えないどこかで不具合を起こしかけているかもしれません。そういう電気設備は、異常な音やいつもと違う臭いを出しています。そうやって“シグナル”を感じて点検してきたので、感覚を使って感知するスキルは磨かれたんじゃないかなって。出かけた先のビルを見ては、異常がないかをチェックする癖がついてしまいました。職業病ですね(笑)」
――どんな性格の方が、電気主任技術者という仕事にマッチしていますか?
「まずは勉強熱心であること。電気設備の点検は、感電をしてしまう危険がありますから、事故を起こさないためにも、点検場所の電気設備の構造を理解していなければなりませんし、普段から図面をみたり、最新の電気設備や保護継電器等を学んだりすることは必須です。あとは真面目であること。手を抜こうと思えば抜けますが、それでは危険を招くだけですから。真面目が一番ですね」
――萩原さんは真面目ですか?
「自称、真面目な男です(笑)」
明りを灯したり、家電を動かしたり、人を動かしたりする電気は「変幻自在」
――沖縄ならではの仕事ってありますか?
「沖縄は毎年、大型の台風が通過するので、台風が去った後は停電の問い合わせが急増し、復旧活動に追われます。あとは離島への転勤をすること。昔、宮古島へ転勤したことがありますが、宮古島の人はお酒好きが多く、ゆったりとした時間が流れるなか仕事をして、島の人達と楽しく飲む日々を送り、とてもお世話になりました」
――この仕事を知らない人に向けて、電気主任技術者という仕事をアピールするならどんな言葉をかけますか?
「先ほども申し上げたように、この仕事は普段、立ち入れないところに入ることができるなど、一般の人が経験できないことやワクワクするような楽しいことに遭遇できる仕事です。ぜひ興味を持ってもらえたら嬉しいですね」
――気になった方は沖縄電気保安協会のサイトをチェックしてくださいね! では最後の質問です。萩原さんにとって電気とは?
「一言で表現するならコレです!(画用紙を出して)電気とは『変幻自在』なもの。なぜかというと、スカイツリーのライトアップや部屋の照明など、電気は明かりを灯すことができます。また、テレビを視聴できたり、音楽プレーヤーで音楽を聴けたりできるのは、電気のおかげ。エレベーターや電気自動車など人を運ぶ力も持っています。そうやって電気はいろんなモノを動かすために変化しているんです。停電したお客さまのところへ出向き復旧できた時、最初に言われる言葉が『電気がないと何も出来ない』です。そのことを考えると、電気は世界中で無くてはならない存在なのかなって思いますね」
<萩原一貴さんプロフィール>
沖縄電気保安協会所属。自家用電気工作物の保安管理業務担当者として、電気設備の管理業務を担当。他にも、主任技術者が選任されている大規模受電設備の試験業務作業責任者として、業務を実施。第3種電気主任技術者、第2種電気工事士、第1種電気工事士の資格を保有。
<取材・執筆>