電気の資格のアレコレ
電験三種の試験はなぜ、「難易度が高い」と言われているのか
「電験三種はとても難しい」。それは、例年合格率が10%前後であるという事実からも明らかです。とはいえ、具体的にどこがどのように難しいのか、なぜそこまで合格率が低いのか、本来の理由についてはよくご存じない方も多いはず。本記事では、電験三種の試験が難しいと言われている本質的な理由について解説します。よく理解したうえで、試験の準備を進めていきましょう!
目次
難易度が高いと言われている理由その1:試験の内容がとにかく難しい
線間電圧、三相交流、リアクタンスなどなど…。電験三種の試験内容には難解な言葉が並びます。問題を解くには、まずこの言葉を把握して、覚えて、意味を理解するところから知識を積み上げていかねばなりません。それでは実際に難易度の高さを体感いただくために、電験三種の問題をみてみましょう。
令和2年 理論試験 (a) では電流値、(b)では電力値が問われています。こちらは複雑な公式を並べて解答する必要がありますが、まず問題をみただけでも頭がこんがらがりそうですね。日常生活ではほぼ、触れることのないイラストや記号がこれでもか!というほど並んでいますから…。 まずは出題形式や傾向を把握し、覚えるべき公式を暗記すること。そして、よく出題される分野に着目して取り組んでもいいでしょう。
難易度が高いと言われている理由その2:試験対策の準備が足りない
多くの方は、自分が試験に合格するための準備がどれくらい必要か把握していないものです。一般的に必要とされる内容をいくつか下記に記載します。 ・勉強時間1,000時間 ・過去10年~20年分の問題を解く ・科目ごとの参考書を利用して学ぶ 僕も最初の試験ではこれらの準備を怠っていました。勉強時間は少なかったですし、参考書に関しても4科目で1冊 (この場合、内容が薄いので一冊だけで合格するのは難しいと、後々感じました)を流し読みする程度で試験に挑んでしまいました…。もちろん完敗です。そもそも4科目もあるので、スケジュール策定や参考書選定に注力していては勉強する時間が足りないかもしれません。苦手科目を割り出し、どの科目にどれだけ時間をかけて勉強すべきか、明確な勉強スケジュールを組む必要があるでしょう。
難易度が高いと言われている理由その3:科目合格狙いのため、4科目合格対策をしていない
電験三種で4科目すべてに合格する人の割合はほんの数%。しかし、「科目合格制度」が設けられているので、一部の科目だけ合格を目指し、数年かけて資格を取得する人も多くいます。たとえば、1年目は電力と法規のみに注力し、理論と機械は何も勉強せずに挑む。そうなると2科目合格ができても残り2科目の合格は難しいかもしれません。こうした理由によって電験三種の合格率が低くなっているのです。
まとめ
電験三種の合格率が低いと言われる理由はおもにこの3点。参考書や試験サイトなどから情報を集め、自分に適した方法で合格を狙ってくださいね。
プロフィール
どわーふ
私立大学大学院(博士前期課程)卒業後、大手メーカー2社で電気部品の開発業務に従事。現在はとある施設で電気主任技術者として電気保安業務を担当。また、フリーライターとして「電気主任技術者が運営する就活転職応援サイト」を運営中。