太さが変わると電気の性質も変わるの?電線の太さはどう決まるの?電線に関する疑問を解説!

更新日:2026.04.23投稿日:2022.02.24

日常で使用する電気は、電線によって私たちの家庭に届けられています。電線にはどんな種類があるのか太さや長さによって性質は変わるのか、どのようにして電線の太さが決まるのかなど、本記事では電線について少し詳しくなれる豆知識をお届けします。

電線とは

電線は電気エネルギーを送る通り道です。家の灯りをはじめ、PCやスマートフォンの充電、電子レンジや炊飯器、ヘアドライヤー、エアコンなど、私たちは日常生活の中で必ず電気を使用しています。電気が使用されている場所には必ず電線が引かれており、電線を経由して電気が供給されているのです。

電線とケーブルの違いって?

電線はよくケーブルと混同されますが、実際は異なります。電線は電気を通すための単一の導体(主に銅やアルミ)に絶縁体をかぶせたものであり、ケーブルは複数の電線を束ねて、さらに外側を保護被覆で覆ったもののことを言います。

電線の種類と用途

電線にはいくつか種類があり、それぞれに役割があります。私たちの生活に身近なものは、電力用電線と電話やインターネットを使用するための通信用の電線です。

電力用電線

火力発電所や水力発電所、原子力発電所などで発電した電力は、次の経路を辿って私たちの元に届いています。

送電線路

送電線路は、発電所や変電所の間を結び、大量の電気を効率よく運ぶ設備全体のことを指します。送電線路はその送電線を支える鉄塔や絶縁装置、さらには地面の下のトンネルなども含めたシステムのことです。大きく分けると空中を通る「架空送電線」と、地面の下を通る「地中送電線」の2種類があります。

▶︎▶︎▶︎架空送電線

山間部や郊外で見かける鉄塔に架けられた電線のことです。各発電所から都市部や工業地帯など、電力需要地の近くにある変電所まで、鉄塔に電線を架けて電力を送っています。

▶︎▶︎▶︎地中送電線

都市部や景観保護が必要な場所などで、地面の下を通して電気を送るために使われる専用の電線を地中送電線(地中送電ケーブル)と言います。架空送電線(鉄塔の送電線)が空気を絶縁体として利用するのに対し、地中送電線は狭い空間に埋設されるため、導体が非常に厚い絶縁層で覆われています。

架空送電線から超高圧変電所へ送られてきた電力は、地中送電線を経由して1次・2次・3次変電所へ送られます。

配電線路

変電所から送り出された電気は、最終的に私たちの家庭やビル、商店などの電気引込口へ配られます。配電線には、主に6,600V(6.6kV)以上の高い電圧で送電・配電を行う高圧電線と、200Vや100Vを運ぶ低圧電線があります。危険度が高いため、高圧電線は電柱の上の方に架かっており、低圧電線は高圧電線より下に架かっています。

配線経路

電気引込口へ引き込まれた電力が家庭内のコンセントや電気機器、工場の機械装置などへ電力を届けるための経路のことを言います。非常に多岐にわたる電線が使われています。

配線用の電線

建物や設備の中で電気を安全に送り届けるために使われる電線のことで、一般家庭やオフィス、工場などで、分電盤からコンセントや照明、機器まで電気を運ぶ役割を担っています。

通信用の電線

通信用の電線とは、「情報(データや音声)」を電気信号や光信号に変えて伝達するための電線のことです。

電線を使用して通信を行うものを有線通信、電線ではなく電磁波を使用して通信を行うものを無線通信といい、有線通信は電話やコンピュータ通信などで使用されています。

電線の許容電流とは

許容電流とは、電線やコードへ安全に流し続けることができる電流の最大値(アンペア)のことです。物体には電気抵抗があり、電圧をかけて電流を流すと抵抗によって熱が発生します。電線にも抵抗があり、発熱によって電線を包んでいる絶縁体(プラスチックやゴム)が溶けたり、劣化して火災の原因になったりしないよう、あらかじめ適正な電流が決められているのです。許容電流は主に電線の断面積(太さ)、材質、周囲温度、配線方法(束本数・放熱性)の要素で決まります。

電線の太さは、「電力(電圧×電流)」で決まる

電気の大きさの目安として電力があります。電力の単位はW(ワット)で、電圧×電流で表すことができます。なお、電圧は一般家庭では100Vと決まっており、電力の大きさは電流の大きさによって変動します。

一般家庭の電源コードには、小さな文字で「100V 15A」と書かれていることがほとんどですが、これは「15Aまでの電流を使うことができる電源コードですよ」ということを示し、電力で表すと1,500Wが上限だということです。ドライヤーは約1,300W程度と消費電力が大きいため、ドライヤーを2台使用すると電力オーバーとなり、ブレーカーが落ちる原因となります。

電圧が高くなると電線が細くなる

電線は、電流が大きくなるとそのぶん太くしなければなりません。電流は、よく水の量に例えられますが、電流が増えるとその分、川幅を大きくするように、電流を流すために太い電線が必要になるのです。

電線の太さで電流が変わる

道の電柱に張られている送電線や鉄塔の送電線は、多くの電気を送っているのに、スリムに見えますよね。これは、一般家庭に届けられる直前の送電線の電圧は通常、6,600Vと高いためです。例えば、同じ100kW(100,000W)を届ける場合に単純計算をすると、電圧が100Vでは1,000Aの電流が必要となります。

それに対して、6,600Vでは

 100,000W ÷ 6,600V = 15.1515…A

となり、15Aの電流で十分ということになります。不思議な話ではありますが、電力の計算式(電圧×電流)から電圧を高くすると同じ電力を送るのに必要な電流が小さくなるのです。そのため、大きな電流を流す電線は必要なくなるため、細い電線で間に合うということになります。

これは、送電網を構築する際の材料費を抑えるために有効な手段となります。 発電所から変電所へ送電する鉄塔などは6,600Vよりもはるかに高い電圧で送電しているため、電線が細くても大電力を送ることができるのです。

太さや長さで電線の性質が変わる!

電線の太さは、「電気を安全に流すことができるか」「物理的に耐えられるか」など、さまざまな要因で決められています。たとえば、架空電線は屋外に設置されているため、強風や豪雨など、さまざまな自然の猛威に耐える必要があるため、電線が強風などの引っ張る力に耐え、断線しないことが重視されます。一方、地中送電線は、外力よりも「熱が逃げにくい」という特有の条件を考慮し、発熱を抑えるための構造や絶縁性能が重視されます。

それぞれの条件によって電線の性質が変わる

先述したように、電線には許容電流が定められています。電線の太さが太いと、電気抵抗が減少(反比例)し、許容できる電流(電流量)が増加します。

電線が太いと…

電線が太いと電流も増加する

電線は原子で構成されており、電子が流れる際に原子が邪魔をすることで電気抵抗が起きます。電線を太くすると電気抵抗が減少(反比例)し、許容できる電流(電流量)が増加するため、電圧降下が抑えられ、遠くまで効率的に大電力を送れるようになります。しかし、太い電線は曲げにくい・重い・コストが高くなるといったデメリットも。

電線が短いと…

電線が短いと電子が少なくなる

電線が短くなるため原子が減少します。電子が原子に邪魔されにくくなり、電気抵抗が小さくなります。逆に、電線の長さが長ければ長いほど電気抵抗が増えるため、電気抵抗が増え、ロスが大きくなります。

電線を冷やすと…

電線を冷やすと、電線を構成する原子の熱振動が小さくなる。

電線を構成する原子の熱振動が小さくなります。原子の振動が弱まると、電子が進む際に原子とぶつかりづらくなるので、電気抵抗が減少します。

まとめ

電線にはいろんな種類があり、それぞれ決まった用途や条件の上で使用されています。お出かけした時に、電線を観察してみてくださいね。

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