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太さの違いがあるってほんと?電線の太さはどうやって決まるかを解説します。
電線は太いものから細いものまで、様々な種類のものがあります。電線の太さは、「どの部分に使われる電線か」という用途に応じて、計算し、決められているのです。
電線の太さは、「電力(電圧×電流)」で決まる
電気の大きさの目安として電力があります。電力の単位はW(ワット)で表されますが、実際には様々な要素が関わっているものの、単純化すると、電圧×電流で表されます。電圧は一般家庭では100Vと決まっていますので、電力の大きさは電流の大きさによって変動します。 一般家庭の電源コードには、小さな文字で「100V 15A」と書かれていることがほとんど。これは「15Aまでの電流を使うことができる電源コードですよ」ということを伝えています。電力で表すと1,500Wまで使用できるということです。ドライヤーが1,300W程度ですので、ドライヤーを2台使うと電線が持たないという状態になるということがわかるでしょう。
電圧が高くなると、電線が細くなる
電線は、電流が大きくなるとそのぶん太くしなければなりません。電流は、よく水の量に例えられます。電流が増えるとその分、川幅を大きくするように、電流を流すために太い電線が必要になってきます。
しかし、道の電柱にひいてある電線や鉄塔の電線は、多くの電気を送っているのに、スリムに見えるという人も多いでしょう。一般家庭に届けられる直前の送電線の電圧は通常、6,600Vです。同じ100kW(100,000W)を届ける場合に単純計算をすると、100Vでは1000Aの電流が必要となります。 それに対して、6,600Vでは 100,000W ÷ 6,600V = 15.1515…A となり、15Aの電流で十分ということになります。不思議な話ではありますが、電力の計算式(電圧×電流)から電圧を高くすると同じ電力を送るのに必要な電流が小さくなるのです。 そのため、大きな電流を流す電線は必要なくなるため、細い電線で間に合うということになります。 これは、送電網を構築する際の材料費を抑えるために有効な手段となります。 発電所から変電所へ送電する鉄塔などは6,600Vよりもはるかに高い電圧で送電しているため、電線が細くても大電力を送ることができるのです。
身近なものに目を向けるといろいろな気づきがある
このように、電力の計算は、電気回路のもっとも基本になるものであり、様々な応用ができます。基礎をしっかり理解すると、同じモノでも見方が変わっていきますので、学習した内容に照らし合わせてみてくださいね。
プロフィール
西海登
本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。
本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。