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身の回りにあるギモンを解決!電波時計が正確に時を刻むワケ
電波時計は普通の時計と違って、時刻を合わせなくても勝手に正確な時間を刻んでいきます。それはどのような仕組みで時間を合わせているのでしょうか?
電波時計は電波を受信して時刻合わせを行っている
電波時計は、名前の通り電波を受信しながら時計として動いています。 どのような電波を受信しているのかというと、標準電波と呼ばれる日付と時刻を送信し続けている送信所が九州と福島にあり、そこからの電波を受信しているのです。
標準電波で受信した電波をもとに、電波時計の日付と時刻に補正をかけることで、常に正確な時刻を刻んでいるのです。日付と時刻の補正の周期は、電波時計によって異なりますが、たいてい1日1回行われます。 電波を受信できない場合でも、電波時計は通常の時計と同じように時刻を刻むことができるので、すぐに時間がずれるということはありません。時計を見て1,2分遅れている場合、時刻を合わせますよね。電波時計は、それと同じような行為を、電波受信で自動に行っているのです。
福島の原発事故後、東日本で電波時計の時刻が合わせられない?
011年の3月11日に、東日本大震災が発生し、福島第一原発の事故が起きました。東日本の標準電波送信所がある福島局の正確な住所は福島県田村市です。原発事故後の避難地域となったことで、送信所も一時閉鎖されていたため、東日本地域では原発事故後、電波時計の時刻が合わせられないという状態に陥っていた時期がありました。 原発事故による意外な影響であり、当時はにわかに話題となりました。今は避難も解除され、送信所も再開しているので、東日本地域でも問題なく標準電波による時刻合わせを行うことができるようになっています。
標準電波は国際規格になっている
電波時計は海外に持って行っても狂うことがありません。その理由は、海外の標準電波送信所が各国にあり、そこからの電波を受信すれば、その国の時刻に合うように設計されているためです。 スマートフォンなどの最新機器でも、こうした電波時計の原理を利用してほかの国に持って行ってもその国の電波を受信すれば、日付と時刻が勝手に合うようになっています。 世界中どこに持って行っても、時計の時刻がその地域の時刻を正確に刻むのは、今では当たり前となりました。それは、便利な世の中を作りたいと考えた人たちが、世界中の人と話し合って、世界中どこにいても正確な時間を合わせられる大きなシステムを作ったことによるものなのです。
プロフィール
西海登
本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。
本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。