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家電量販店の激安iPhoneはなぜ安い…!?店員さんに聞いて検証してみた
日々進化するスマホ業界で、市場をにぎわす型落ちiPhone。2022年にはさらに値下げし、1円という破格のiPhoneも珍しくありません。この記事では、どうしてこのようなバラマキ状態なのか、販売スタッフの証言を交えて解説します。
先に結論を言うと、安さの秘密はキャリアモデルの「SIMロック」による影響です。SIMロックとは、例えばソフトバンクで購入したiPhoneではドコモやauの回線を使用できないという制限で、今回のばらまきの原因と言えます。
キャリアのSIMロックにおける悪影響
ドコモやソフトバンク、auなどの大手キャリアで購入するスマートフォンには、そのキャリアの回線しか使用できないSIMロックが掛かっている場合があります。その場合、スマホの契約を他社に乗り換えても電波を受信できず、インターネットを使用できません。 最近は、通信料を抑えた格安SIMや基本料0円プランが登場しており、ケータイ会社を乗り換えるユーザーが増加しました。しかし、SIMロック制限によりトラブル件数も増加し、乗り換えをあきらめるユーザーもいました。
SIMロックは条件付きで解除ができる
そもそもSIMロックは、キャリア側がユーザーを他の携帯電話会社に乗り換えないようにするための仕組みであるため、解除自体は可能であるものの、手間とお金が掛かります。キャリアにもよりますが、例を挙げると「キャリアのケータイショップに行き、約3,000円支払い手続きする」「スマホ購入時の箱に記載されている識別番号をサイトに入力する」などです。無料でのSIMロック解除もできますが「購入当日でクレジットカードによる一括決済に限る」と限定的です。
SIMロックスマホの在庫処分
このような悪影響を重く見た総務省が、2021年にガイドラインを発表しました。それがSIMロックの規制です。2022年10月からSIMロック端末を原則禁止とし、SIMフリー化して販売するように各キャリアへ通達しました。 つまり、2022年10月までにiPhoneSE2やiPhone12シリーズを売りさばく必要がでてきたわけです。なので、家電量販店で見かける激安iPhoneは、SIMロックが掛かっていますが正真正銘の正規品iPhoneとなります。
激安iPhone購入の条件と注意すべきこと
キャリア側が在庫をばらまく理由が理解できたところで、具体的な購入条件を確認します。キャリアや店舗にもよりますが、最大の割引が受けられるのが「他社から乗り換え」「新規契約」で新品のiPhoneを1円で購入できます。 さすがに1円は裏がありそうなので、販売スタッフに購入に関するデメリットを確認しました。 「他社から乗り換えですとギガ使い放題の大容量プランが必須です。新規契約ですとレンタル契約になり2年後に返却か買い取っていただくことになります」
つまり、高い料金プランか2年間レンタルの2択を迫られる代わりに、新品のiPhoneが激安になるということです。ここで私は、契約した直後に格安SIMへ乗り換えや早期解約すれば逃げ切れるのではと思いつき、再度販売スタッフさんへ話を伺いました。 「契約直後に解約やプラン変更すると今後キャリアでの契約が不可能になる可能性がありますので、半年以上の契約を推奨します」 下手するとブラックリスト入りし、半永久的にそのキャリアでの契約ができなくなるようです。ブラックリストとは、電気通信事業者協会やテレコムサービス協会が管理する要注意人物リストのことで、ケータイ代金や通信料の未払いが多い場合にリスト入りし、今後、携帯会社とのプラン契約ができなくなります。
今回のケースでは特定のケータイプランへの加入を条件にiPhoneが激安で購入できますが、購入条件である特定のケータイプランは、高額な大容量プランであることがほとんどです。高額なプランは毎月支払う額が大きくなるため、お目当てのiPhoneを購入した後に、安いプランに変更する人が多くいますが、これを携帯電話会社が契約違反とみなした場合、ブラックリスト入りします。 ちなみに、他の家電量販店にも行き、販売スタッフにもブラックリストについて、またiPhone13の破格セールは今後あるか尋ねましたが「答えられない」とのこと。私のSNSリサーチですと、稀にiPhone13シリーズが激安価格となり、たった数秒で売り切れるそうです。購入後のことについてしっかり理解し、納得したうえで、契約を検討しましょう。
まとめ
iPhone12シリーズまでの端末はSIMロックというキャリア制限があり、今後SIMロック端末の販売が規制されるため、現在各家電量販店でiPhoneがばらまかれています。 しかし購入には高額プランの加入が必須で、早期のプラン変更はブラックリスト入りの可能性が高く、注意が必要です。 ちなみに、端末のみ購入もできます。キャリアと契約をしない場合は割引率が下がりますが、意図しないプランに加入するよりいいかもしれません。また購入前にSIMロックの確認を強く推奨します。この記事を読んでいただいたことで皆様の判断材料になれば幸いです。
プロフィール
志津 良
ガジェットブロガー。
GoogleやApple製品などガジェット関連の情報を「二番煎じのガジェットブログ」にて発信。また、ガジェットを切り口にSNSや音楽などを幅広く扱ったWebメディア「weblog」も運営中。