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身の回りにあるギモンを解決! 液晶と有機ELディスプレイって何が違うの?
薄型テレビに代表されるような液晶ディスプレイは一般的なものになってきました。そもそも、有機ELディスプレイは薄型の液晶ディスプレイと何が違うのでしょうか?
液晶ディスプレイは液晶を操作する
液晶ディスプレイは、液晶と呼ばれるどろどろとした物体に電気をかけることで光の通し方を変えます。上図のように、光の三原色の赤、緑、青(RGB)のカラーフィルタにバックライトからの光が通るかどうかでカラス越しの見え方が変わる仕組みになっています。 つまり、カラーフィルタはディスプレイ上に無数に配置されていて、液晶が細かい制御でバックライトからの光の通し方を変えているということです。図のような液晶からの光をカラーフィルタで通す方式はTFT液晶ディスプレイと呼ばれて、スマートフォンなどに用いられている最も一般的なディスプレイとなっています。
有機ELディスプレイは発光体が直接発光する
有機ELディスプレイでも、光の三原色となるRGBの元になる発光体があることは同じ。 バックライトからの光を透過するような形で表示していた液晶ディスプレイに対して、有機ELディスプレイは、発光体と呼ばれる部品が電気を通すと直接発光することで表示を行います。 液晶ディスプレイは今でも十分きれいな表示を行いますが、バックライトからの光が液晶などを通ることで、少しぼやけてしまったりしていたり、見たような状態の表示に近づくことができませんでした。
有機ELディスプレイは発光体からの光を直接制御することで、フィルタ部分がなくなり、より鮮明な表示を行うことができるため、液晶ディスプレイよりもさらに薄くすることが可能になるのです。薄型テレビで鮮明な画像を表示するので、4Kテレビなどと相性がよいとされています。
有機ELディスプレイの発光体は導電性ポリマー
有機ELの発光体には、電気を通すと発光する特殊なポリマーが使われています。ポリマーとはプラスチックに代表されるような合成樹脂類です。プラスチックが電気を通さないように、ポリマーは電気を流さないというのが長年の常識でした。 しかし、ポリマーでも電気を通して発光するという研究課題に挑戦したことで、有機ELディスプレイが実現しました。これには日本人も研究に携わっており、ノーベル化学賞を受賞しています。液晶ディスプレイにおいても同様ですが、こうした基礎研究の積み重ねにより、より高度な製品を生み出すことができるのです。
プロフィール
西海登
本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。
本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。