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秋に寂しい気持ちになるのはどうして?心の専門家が解説
夏の暑さが少しずつ終わり、過ごしやすくなる秋。何かをしようという意欲もわく一方で、何故か寂しい気持ちになることもあります。今回は、秋の気候と寂しい気持ちになる心理について解説します。
秋に寂しい気持ちになる理由
学生であれば「楽しい夏休みが終わって悲しい」など寂しさを感じる心理的な要因もありますが、秋は徐々に日が短くなり、気温も下がっていく時期です。つまり、季節の変化が心に影響を及ぼしている可能性があります。季節の変化と心の関係は秋だけでなく、ゴールデンウィーク後にみられる「五月病」や、冬場にみられる「冬季性うつ」も同じようなもの。これらと違って、秋の寂しさは物思いにふけるような感慨深さもあります。寂しさから気分の落ち込みや意欲の低下など生活に支障が出る場合は、寂しさを紛らわす必要があるでしょう。 秋の物寂しさに考えられる要因は、①セロトニンの減少、②1日の寒暖差の2つ挙げられます。
セロトニンの減少
日照時間が最も長くなる夏に対して、秋は「秋の夜長」というように、日照時間が徐々に短くなってきます。日照時間が短くなるにつれて、人の脳内では「セロトニン」という気持ちを安定させる神経伝達物質が減ってしまいます。夏に比べて秋はセロトニンが減少しやすいため、どことなく寂しい気持ちを感じやすいと考えられます。
1日の寒暖差
夏は35度など残暑が続く一方で、秋は気温が下がりはじめるため、一見過ごしやすい季節。しかし、朝晩は少し肌寒く感じ、日中はまだ暑さが続きやすく、1日の寒暖差も感じやすい季節です。寒暖差から体温調節がうまくいかなくなると自律神経が乱れやすくなります。自律神経は心身の調子を安定させる神経系であるため、乱れてしまうと「なんだか悲しい」など気持ちの不安定さを感じると考えられます。
秋に感じる寂しい気持ちへの対処法
秋になるという季節の変化だけでも人の心は影響されがちですが、秋に感じる寂しさは対処できるものです。ここからは日常生活に取り入れやすい簡単な対処を3つ紹介します。
日光浴をする
気持ちを安定させるためには、セロトニンの分泌を活性化させてあげることが大切になります。セロトニンは太陽の光を浴びると分泌が促されるため、散歩など進んで外に出るようにすることが大切です。また、朝から日光浴をすることで、セロトニンの分泌だけでなく自律神経も整いやすくなります。朝から15分程度の日光浴が特におすすめです。
適度な運動をする
ストレッチやジョギング、ダンスやヨガなどの運動を取り入れることでもセロトニンの分泌を助ける働きが期待できます。運動の時間を取り入れることが難しい場合は、普段の生活でなるべく階段を使うなど身体を動かすことを意識してみましょう。
呼吸を整える
腹式呼吸など意識的に呼吸を整えることも、寂しさや心の不調を軽減するには効果的です。呼吸法も軽度な運動の1つで、深く息を吐くと副交感神経が優位になってリラックスしやすくなります。仰向けの状態で息をゆっくり吸って吐くと腹式呼吸がしやすいので、寝る前に試してみてください。
心身を整える対処で秋の寂しさを和らげよう
秋に寂しい気持ちを感じるのは、季節の変化によるセロトニンの減少や1日の寒暖差による自律神経の乱れが影響していると考えられます。何となく寂しくなるときは、セロトニンの分泌を促して自律神経を整えるために、日光浴や適度な運動、腹式呼吸などを取り入れてみてくださいね。
プロフィール
しあん
臨床心理士・公認心理師。国立大学院修了後、精神科クリニックや学校現場にてカウンセラーとして従事。専門領域は臨床心理学、心理アセスメント。また、心理系大学院を目指す人のために『サイコロブログ』にて情報発信中。Twitterのアカウントはこちら。