現場レポート
電気工事の甲子園!?優勝を目指して技術者たちが激突する電気工事技能競技全国大会
2022年12月1日、横浜アリーナで各都道府県の代表者が電気工事の技術を競う「電気工事技能競技全国大会」が開催されました。多くの観客や応援団が駆け付け熱気に包まれた横浜アリーナで、日頃から磨き上げてきた技能を競い合った選手たち。本記事では、大盛り上がりを見せた電気工事技能競技全国大会について、レポート形式でお届けします。
電気工事技能競技全国大会ってどんな大会?
電気工事技能競技全国大会とは、全日本電気工事業工業組合連合会が主催しており、全国で活躍する技術者たちが集まって電気工事の技術を競い合う大会です。 電気工事業の技術向上や業界内外・将来の担い手である若者への業界PRを目的として開催され、2014年に第一回大会が実施されてから毎回2,000人ほどの来場者を集める一大イベントとなっています。大会では、「一般の部」「女性の部」「高校生の部」の3部門それぞれに全国から予選を勝ち抜いた選手たちがエントリーし、各自のスキルを活かしながら、与えられた課題を制限時間内に達成できるよう挑みます。一般の参加は無料で、今大会からはYoutubeでの配信も行われました。
本大会は施工の安全性や正確さ、仕事の丁寧さ、美しさなどが審査員の鋭い目によって審査され、普段はなかなか見ることができない電気の現場を知ることができる貴重な機会です。そのライブ感はまるでスポーツそのもの。国家資格にもとづいたハイレベルな技術によってつくりあげられた製品はどれも一種の芸術作品とも思えるほど完成度が高く、美しく仕上げられています。
白熱した第四回大会
電気工事技能競技全国大会は、第一回から隔年で開催されてきましたが、コロナ禍の影響で2020年度の大会が延期となったため、今回は実に4年ぶりの開催です。 第四回となる本大会は会場も従来の両国国技館から横浜アリーナへと移され、過去大会と比べてもかなり大規模なものとなりました。今大会のテーマは「Go For It! その技術が未来を救う!」。2,487人の来場者が集まり、出場者数も「一般の部」は53人、「女性の部」「高校生の部」はそれぞれ9人と過去最多。各選手が日本一の座を目指し、日頃磨いた技能を競い合いました。
9時15分。試合開始の合図が会場に鳴り響くと同時に、選手たちが作業に取り掛かりはじめました。 技能競技では、電源配線や配管、分電盤などの設置を組み合わせた課題が出題されますが、一般の部の課題はなんとAIスピーカー。選手たちは約1.8メートル四方の作業板を使い、一般の部180分、女性の部150分、高校生の部130分の制限時間で、課題の制作に取り組みました。 2~3時間にも及ぶ長い作業時間の中でも、選手たちはわき目を振らず驚くべき速度で作業を進めていきます。最初は何もなかった場所に次々と組み立てられていく様はまさに圧巻。
競技が終わると並べられた作品を審査員が一つひとつ審査していきます。 前日の学科競技成績と当日の作品審査の結果、福島県の鹿山真史さん(鹿山電気商会)が一般の部の金賞・経済産業大臣賞を獲得。鹿山さんは前回大会を見て「やりがいのある大会だと感動し、自分も『やればできる』と思い挑戦した」のだとか。『(金賞は)県の電気工事組合や会社、家族のサポートがあったからだと思う』と周囲の支えに感謝のコメントを述べました。
また、一般の部で安全作業について最も優秀な選手として、長崎県の橋口健太さん(こばた電設)に安全作業大賞・日本電気協会会長賞が贈られました。続いて、女性の部の金賞・国土交通大臣賞は新潟県の瀧澤早季節穂さん(瀧澤興業)、高校生の部賞は猪腰哲平さん(福島県立平工業高校)がそれぞれ受賞しました。
まとめ
普段私たちが当たり前のように使っている電気は、電気工事技術者の技術によって安全に供給されています。「電気工事技能競技全国大会」はそんな電気工事士の技術を見ることができる絶好の機会です。電気工事に関心がある方や、技術者として自分のスキルを体感してみたいという方は、ぜひ、2年後に開催予定の第五回電気工事技能競技全国大会にご参加くださいね。