現場レポート
電気予報士・伊藤菜々さんがレポート!「建設系・電力系youtuberオフ会」
伊藤菜々さん自身も注目している電気工事士というお仕事。電気は生活に欠かせないものですし、2050年のカーボンニュートラルに向けて、オール電化や電気自動車などさらに電気を使う場は増えていくことが予想されます。そんな電気工事士さんの働く場として、関わりが大きいのが建設業界です。建設業と電気工事業の現状、そして未来について語り合うべく、建設系・電力系youtuberがイベントで集結!実際に働いている様々な立場の方と、現在や未来のリアルな話をお届けします!
目次
電気工事士さんも活躍する場の建設業界
電気工事士は国家資格であり、電気工事士しかできない仕事は数多くあります。みなさんも、電気を使わない日ないのでは。そんな私も、昨年、第二種電気工事士の資格を取得しました。 電気工事士が働く場所は、おもに鉄道関連や建設関係の現場ですが、中には自身で電気工事会社を営み、家庭用の電気工事を行っている方や、太陽光や蓄電池、EV充電器の設置工事を行っている方もいます。 電気工事士をはじめ、技術を磨いた職人さんたちは非常に頼れる存在ですし、ゼロから大きなビルを建ててしまうなど、仕事の規模も大きく、達成感があるものばかり。一方、工事現場では重いものを運ぶので体力が必要だったり、寒暖差を直に感じたりするので、大変だという意見も少なくはありません。このオフ会では、現場で働く技術者さんたちからリアルな声を聞かせていただきました。
建設系Youtuber・電力系Youtuberが集結!
回都内に集まったのは、建設業界や電気工事業界のYouTubeを発信している方など、およそ20名。実際に建設業界で施工管理をされている方、測量をされている方、女性建築士の方、電気工事の方など職種もさまざま、大手ゼネコンの方からサブコン、下請け企業、地域で独立されている方、現場以外にもデジタルの力で事務作業や紙で管理するアナログ作業をDXする会社、テクノロジーの会社、人材会社、コンサル会社の方など立場もさまざまな現職の方々が参加しました。 みんながYouTubeで発信している理由は、業界外の方に向けて現状を発知ってもらいたい、業界内の方に向けて知識や技術を習得してほしい、仕事の魅力を伝えたい、問題提起をすることで業界を良くしたいなど、業界ならではの課題解決に向けたテーマばかり。共通して言えることは、建設業や電気工事が好きで、業界をもっと良くしたいということでした。会合では2つのテーマに沿ってみなさんからの意見発表や話し合いが行われました。熱い想いとともに語られていますので、是非とも末尾のYouTubeでご確認ください。
議論テーマその1.自分の子供を建設業界に入社させられますか?
「自分の子供を建設業界に入社させられますか?」 入社させられます!入社させられません!いろいろな意見がありました。 もし、自分のこどもが建設業界に入りたいと希望したら、現在建設業界で働いている方たちは勧めるか、それとも勧めないのでしょうか?また、建設業界は人口不足でもありますが、課題は何なのでしょうか?業界をよく知る人達で議論が行われました。 入社させられると答えた方の中には、「どんな業界でも大変なことも良いこともある。大変なことを改善していく方法を考えることが大事」「建設業界はまだデジタル化されていない部分が多く、ビジネスチャンスもたくさんあるから面白くなる」「職人として技術を身につけ、世の中に感謝されていることが達成感」といった声も。入社させられないと答えた方は、「残業が多い時もあり肉体的に大変だった」「職人の技を見て覚えろという風習もあり、教育がまだ整っていない」といった感想もが上がっていました。 さまざまな意見が飛び交いましたが、多くが前向きな意見で、業界の問題を自分たちが解決していくんだという意気込みを強く感じました。中には、「発信していく人たちが建設業の魅力を発信していくことで、胸を張って子供たちに進めていける環境を作りたい」「SNSやYouTubeといった情報発信ツールで、現場の教育不足を補っている」という方もいました。
議論テーマその2.2024年残業規制で建設業界は働きやすくなるのか
2つ目のテーマは、1つ目のテーマを踏まえさらに働きやすさについて深堀したもの。 大手保険会社の建設業1,000社に対して「2024年残業規制の対策をしていますか?」という調査をしたところ、78%の会社が残業規制を対策していないと回答していたそう。建設業界は現場作業も多く、勤怠管理や日報なども紙を使用しアナログの会社も少なくありません。そういった情報を踏まえ、制度改革で建設業界がどうなっていくのか?みなさんの意見と、前向きな対策が話し合われました。 大多数が、制度が変わることで、建設業界もより働きやすくなると思うと考えているようで、仕事が大変、残業が多いというネガティブなイメージが改善されるのではないかと、期待しているとのこと。現在、親方として会社を営む参加者の一人は、残業させる気がない、平均年間残業時間が18時間と述べていました。「残業を減らさなければいけないなら、そのために技術を磨けばいい」「教育の機会が少なくなってしまう職業柄なら、今あるテクノロジーを駆使していけばいい」。例えば、親方さんの手元の動画をアーカイブで残し、社内教育用の動画を制作したことで、社員の技術力が上がり、残業が減ったという取り組みを発表してくださいました。
中には、「そもそもホワイトとは何か。残業がないことが良いとは考え方による」という意見も。仕事が楽しいと思えるように自分の技術を磨き、自分の技術が世の中に影響を与えている、世の中を支えているという気持ちからの達成感や楽しさが勝るのだと熱く答える建設業の方もいました。 また、法律的な改定で働きやすくなるだけではなく、企業の努力も大事だとの声も。建設業や電気工事業界ではアナログな部分もまだ多く、専門性とは関わらずに手を煩わせている事務作業にテクノロジーを取り入れることで仕事の時間を減らすことも重要な施策の一つです。残業規制は追い風になる上に、まだまだチャンスが多い業界のため、おもしろいことやイノベーションが起こるのではと感じました。
Youtuberオフ会を経て感じたこと
つねに業界を良くしようと考えて活動している業界のかたたちとお会いできたオフ会。電気工事士さんにもさまざまな視点、考えがあると感じました。現場で働くイメージが強くありますが、デジタルが得意な人、人と話すことが好きで人材のお仕事をしたい人など、職人さんを支えるという面でも活躍できるシーンは多くあります。全国各地で電気は使われていますから、都心でも地方でもどこでも仕事をすることができます。 この会を通して一番伝えたいのは、どの仕事も考え方次第で楽しくなるということです。一時的に大変な下積み時代もあると思いますが、自分の磨いた技術が世の中の役立つと思えば、達成感やワクワク感が出てきませんか?今回は、株式会社ライズさんの主宰でこのような機会をいただけたことに感謝しています。建設業や電気のお仕事に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
☆Youtube動画 施工管理チャンネルby株式会社ライズ ●オフ会【前編】建設ユーチューバーに聞いてみた!自分の子どもに建設業を勧められますか?建設業界で働くYouTuberたちは、自分の子どもを建設業に入社させたいと思っているのか?
●オフ会【後編】2024年の残業規制で建設業はホワイトになるのか? 建設業の残業規制スタートまで残り1年4ヶ月。長時間残業や土曜出勤はどうなる?建設業はホワイトになるのか?建設YouTuberの意見は?
プロフィール
伊藤菜々(いとう・なな)
電力系ユーチューバー(電気予報士)
上智大学経済学部経営学科卒業。電力全面自由化に伴い新電力の立上げに関わった後2019 年から独立し、現在の有限会社スタジオガルを開業。電力事業の立ち上げ・運営支援、企業PRや商品広報、ZEH住宅やマイクログリッド等の地域脱炭素活動を行う。実績として大手新電力 での研修や営業企画、国立大学での講義、展示会やセミナー 等での講師を行う。 電気業界をたのしく!わかりやすく!解説した Youtube チャンネル「電気予報士なな子のおでんき予報」を 2020 年 4 月開設し情報発信中。 第二種電気工事士試験を独学で合格。現在電験三種の一発合格に向けて勉強中。