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SDカードが小型で大容量な記憶ができるのはなぜ?
SDカードは小さなものであれば5㎝程度の大きさのマイクロSDカードなどもあります。しかし、パソコンのハードディスクと同じくらいの大容量のデータを記憶できるものもあります。画像や動画といったデータ量の多い記録も小型サイズで行うことができ、防犯カメラやドライブレコーダーなどの普及にも一役買っています。さて、どのようにしたら小さな大きさのSDカードに大容量のデータを記録することができるのでしょうか…?
電子記録に必要な0と1を大量に記憶するNAND型フラッシュメモリ
コンピュータに必要なデータは0と1の羅列です。SDカードはこの0と1を大量に記録し、読みだせる構造になっています。SDカードのスペースは限られていますが、同じ大きさでも多くの記憶容量の種類があります。その小さなスペースに大容量の記録を可能としたものが、NAND型フラッシュメモリと呼ばれる半導体メモリです。 NAND型フラッシュメモリはセルと呼ばれる一つひとつの半導体に電気をかけることで、電子の状態が変化し、ONかOFFかの状態に変化します。読みだす際は、セルの状態をコンピュータが確認することでONが1、OFFが0というデジタル信号に変換することでデータを取り出しているのです。この記憶方法自体はCDに光を当てることで光の状態が変化するCD-RWなどと同じですが、NAND型フラッシュメモリの利点は、セルを小さなスペースに無数に並べることが可能ということです。
NAND型フラッシュメモリは、技術開発が進んでおり、同じSDカードでも10年前には2GB程度の容量しかありませんでした。しかし現在では2TBという同じ大きさのSDカードでも1000倍の記憶容量を持つものも登場しています。また、SDカードが小さいために、服のポケットに入れたまま間違って洗濯をしてしまったという経験がある人もいるかもしれませんが、それでも大抵は使用することができるのです。 NAND型フラッシュメモリは、小型化できるというだけでなく、高い耐久性があり、様々な用途で使用しても簡単に壊れないということも大きな利点です。
NAND型フラッシュメモリは日本メーカが世界シェアで上位
SDカードで知られるNAND型フラッシュメモリですが、実は日本の強い技術でもあります。キオクシア(旧東芝メモリ)は、半導体製造では世界上位で、NAND型フラッシュメモリの世界シェアでは韓国のサムスンに続いて第2位となり、高いシェアを誇っています。SDカードやスマートフォンの記録媒体にもなっているNAND型フラッシュメモリは、まだまだ世界とも競争ができる日本の得意分野なのです。
プロフィール
西海登
本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。
本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。