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身の回りにあるギモンを解決!食器洗浄機はなぜ節水で食器がきれいになるの?
食器洗浄機が設置されている家庭も増えてきています。食器洗いの手間が省けるとあって家事の負担が減ります。食器洗いは毎日やることなので、その負担が減る日常生活のメリットは大きいと言えるでしょう。食器洗浄機が便利なだけでなく、家電量販店などでは「手洗いよりもきれいになる」「節水になる」というセールスポイントを見た人もいると思います。それは、食器洗浄機のどのような部分から語れるメリットなのでしょうか?
食器洗浄機内に洗浄水循環ポンプと温熱ヒータ
食器洗浄機にかけられる食器の汚れの油分や糖分がほとんどで、そのほかには食用油などの油汚れや、ご飯などの粘り気のある汚れもあります。食器につく汚れの多くは、40℃から60℃の状態の環境に置かれると、汚れの成分に粘り気がなくなり、スポンジなどでこすらなくても洗い流すだけで落ちることが知られています。ご飯や餅など粘り気のあるものを長時間おいておいた食器でも、お湯に浸しておくと、洗いやすくなるという原理と同じです。 これらの原理を応用する形で、食器の洗い工程を自動化したものが食器洗浄機。食器洗浄機の中には、スポンジでこするような機構のものはありませんが、その代わりに、食器が入れられると40℃から70~80℃程度の高温状態を作り出し、同じ温度のお湯を食器に向けてジェットノズルから吹き付けます。高温状態によって汚れが溶け出しているため、食器にお湯を当てるだけで簡単に汚れが落ちるしくみになっているのです。
さらにジェットノズルからの高温のお湯は洗浄中、食器洗浄機内の循環ポンプによってヒータで温められながら循環しています。食器洗浄機で食器を洗うと、毎回決まった量の水だけ使用することになるのです。 人の手で洗うと水を出しっぱなしで洗ったり、汚れが落ちていないともう一度洗ったりなど、一回の食器洗いでは人によって水の使用量にばらつきがあります。水を出しながら食器洗いを行えば、ほぼ確実に食器洗浄機の水の使用量を超える形となるでしょう。これによって食器洗浄機メーカは手洗いよりも節水ができるというセールスポイントで食器洗浄機を販売しています。食器洗浄機は、日常で行われていることを科学の目で見て、自動化した機械なのです。
通常の食器用洗剤と食洗機用洗剤は成分が異なる
食器洗浄機の構造が分かったところで、食器洗浄機の注意事項で「通常の液体食器用洗剤使用禁止」という表示を見たことがある人も多いかもしれません。食洗機用洗剤は粉末のものを使用します。この洗剤の主成分はアルカリ性無機塩という油汚れを落とす目的ですが、つけ置きなどの用途で使われているものです。 食器洗浄機がつけ置きのような状態で洗浄するため、こちらの洗剤で十分効果が出るということです。また、通常の食器用洗剤は泡立つため、食器洗浄機内が泡だらけになってしまい故障の原因にもなります。注意書きは理由なく書いてあるわけではありませんので、ちゃんと守るようにしましょうね。
プロフィール
西海登
本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。
本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。