テレビCMでお馴染みの「関東電気保安協会♪」はどんな仕事をしているの?編集部が研修施設に潜入!【前編・インタビュー】

更新日:2023.12.06投稿日:2023.12.06

関東エリアにお住まいの方なら、テレビCMで「関東電気保安協会♪」というフレーズを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただ、実際にどんな仕事をしているのか、どんな会社なのか、知らない方は多いはず。そこで今回、関東電気保安協会さまの技術研修所にWattMagazine編集部が潜入。どんなお仕事をされているのか、電気安全のプロ技術職員さんへお話を伺いました。

関東電気保安協会は、どんな仕事をしているんですか?

関東電気保安協会さまでは、どのような仕事をされているのでしょうか。

鈴木さん:関東電気保安協会は、ビルや工場、そして病院・学校等の公共機関まで、電気事故を未然に防止し、快適で安心できる社会の実現に貢献するため、専門の技術者たちが定期的に電気設備を点検や調査する会社です。また、電気設備の故障や老朽化を防ぐために、保守や工事を行ったり、電気に関する教育や研修を通して、電気設備の安全を守るための知識や技術を広めたりしています。

電気設備の点検とは、具体的にどんなことを行っているのでしょうか。

鈴木さん:お客さまから委託を受け、ビルや工場等に設置された高圧電気設備の保安管理をする仕事です。高圧電気設備を設置している会社や事業所は、法律によって「電気主任技術者」を置くことが義務付けられています。しかし、国家資格である電気主任技術者を職場ごとに置くのは大変な費用がかかるため、外部に委託することが認められているのです。関東電気保安協会はお客さまと契約を結び、自家用電気工作物の工事・維持・運用について、保安管理業務をお引き受けしています。また、お客さまからのご依頼に応じて技術コンサルタント業務も行っています。具体的には、定期的な点検、緊急時のかけつけ点検、お客さまへの助言や技術的なサポートなどです。

点検作業は建物を停電したうえで行っているのだとか。

鈴木さん:点検作業は原則、月に一回実施する月次点検と年に1回実施する年次点検の主に2つ。月次点検は、使用中の電気設備を点検したり、数値測定を行ったりすることで、電気使用時における異常の有無を確認します。具体的には、有資格者が配線状況や保安装置を目視で確認したり、電圧・電流・漏えい電流を測定したりして異常の有無を確認します。 年次点検は、月次点検と点検方法が異なり、電気設備を停電させてから、絶縁抵抗測定を行ったり、保護継電器試験や機器の内部点検などを行ったりします。

年に一度行う年次点検の模擬実演

今回は特別に、関東電気保安協会の技術研修所において研修用キュービクル式高圧受電設備で年に一度行う年次点検の模擬実演を見せていただくことに!作業時の安全確保の取組や点検作業風景を見学してきました。

①作業前のTBM

作業開始前に作業責任者の中山さんが作業者の佐藤さんに対し、設備の状況や作業内容、現場における注意箇所等について情報を共有します。 ※TBM(Tool Box Meeting)とは元々は工事現場などで作業前にその日の作業の確認や注意点を全員で共有するために作業前に行われるミーティングのことを指し、「道具箱(ツールボックス)」に座って行われたことから「ツールボックスミーティング」と呼ばれるようになりました。

②作業前には必ず検電を!

作業前に必ず行うのは、電気が止まっているか否かの確認です。自分の身は自分で守るという意識を持つために確実に行います。

③断路器開放操作

主遮断器を開放した後、この操作によって、キュービクル内の各機器への電気の通り道を物理的に切断するができます。また、物理的に接続されていないことを目視することができ安全を確保できます。

④短絡接地器具の取付

電力会社設備との境にある区分開閉器などを開放し、断路器電源側が無充電になった後に、断路器の電源側に短絡接地器具を取り付けます。これによって、万が一、キュービクルの電源側に電気が供給されても、作業員の安全を担保することができるのです。以上で設備の停電作業は終わり。キュービクル内の点検作業に入ります。

⑤電気設備に異常がないことを専用の機器を用いて確認

初めに高圧絶縁抵抗測定を行います。絶縁抵抗測定を水道で例えると、ホース(電線等)に水漏れしている箇所はないかを確認するイメージです。

⑥電気設備に異常がないことを専用の試験器(測定器)を用いて確認

保護リレー試験で、キュービクル内の電気設備に異常があった際に保護装置が正常に作動できるかを試験します。

⑦変圧器絶縁油の点検

変圧器の中には油が入っています。この油が劣化すると事故につながるため、定期的に採油して油の成分を調べます。

作業は手際よく終了。通常は停電時間が1時間程度での作業です。お二人とも、普段は本部で技術開発等を担当されているため、現場作業は久々とのことですが、作業責任者の指示のもと作業の手際のよさはさすが電気安全のプロ!

一日のスケジュールの例を教えてください。

検査員の一日のスケジュールは通常、次のような流れです。ただし、現場によって作業時間は異なります。

近年、技術職員が不足しているため、本部職員も作業者として現場の応援に行くこともあるそうです。関東電気保安協会さまでは、電気主任技術者不足の解決策として、様々なセンサを設置して、設備の異常を遠隔で監視するスマート保安の実験も行われています。

電気主任技術者の選任が必要な太陽電池発電設備も年々増え続けているため、ますます電気主任技術者のニーズは高まっています。活躍の場はこれからも広がっていくことでしょう。

後編では、技術研修所の設備について紹介しています。ぜひ、チェック!

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テレビCMでお馴染みの「関東電気保安協会♪」ってどんな仕事?編集部が研修施設に潜入!【後編・レポート】

関東エリアにお住まいの方なら、テレビCMで「関東電気保安協会♪」というフレーズを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただ、実際にどんな仕事をして…

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