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次世代電池として注目されている全固体電池って何?
スマートフォンのバッテリなどに使われているリチウムイオン電池は、電気自動車などにも使われ始めています。しかし、使い方を間違えると発火や爆発などの危険性があり、注意が必要です。
一方で、大容量電池として活用が期待されている「全固体電池」の研究が進んでいることをご存知でしょうか?2035年には、現在もっとも高性能とされているリチウムイオン電池にとって代わると言われているのです。
充放電の原理は従来電池と同じ?
全固体電池といっても、充放電の原理は従来の電池と全く同じです。
リチウムイオン電池も同様に、高校化学にも出てくる19世紀に考案されたボルタ電池と電気を貯める構造は全くと言っていいほど変わっていません。大きな違いは、充電する際に電気を貯める正極、負極、そして、放電する際に電気の通り道になる電解質の材料です。 過去の電池では、電解質の部分に液体を使う必要がありましたが、全固体電池は固体としたことに大きな進歩があります。電解質使う液体は、液漏れや電解質の劣化による充電容量の低下を発生しやすくさせていました。また、電解質の液体は有害で、可燃性の物質を使わなければならないため、危険性を伴うものでした。リチウムイオン電池の爆発例などがその一端です。 全固体電池は電解質の部分に固体を用いることで液漏れの心配がなく丈夫です。固体電解質となることで、電解質の劣化が起こりにくく、リチウムイオン電池よりも長寿命というメリットも。現在、メンテナンスが難しく、多くの電気を必要としない監視機器(IoT機器)などの電子機器を筆頭に、全固体電池の搭載が検討されています。
全固体電池の材料開発はまだまだ研究段階
全固体電池のもう一つの特徴は、高速充電が可能であることです。現在、大容量の全固体電池が急ピッチで開発されており、今後普及が促進される電気自動車の発展にも貢献するのではないかと考えられています。 リチウムイオン電池での電気自動車では、充電時間が長く、電池寿命が短いという欠点がどうしても目立つため、今一つ普及していないというのが現状です。 全固体電池はこの状況を変えるゲームチェンジャーとなりうると考えられています。 そんな最新技術であっても、高校化学で習う基礎中の基礎として、ボルタ電池がある、ということは、学校で習う勉強が最新技術につながっているということができるのではないでしょうか?
プロフィール
西海登
本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。
本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。