現場レポート
テレビCMでお馴染みの「関東電気保安協会♪」ってどんな仕事?編集部が研修施設に潜入!【後編・レポート】
関東エリアにお住まいの方なら、テレビCMで「関東電気保安協会♪」というフレーズを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただ、実際にどんな仕事をしているのか、どんな会社なのか、知らない方は多いはず。そこで今回は、関東電気保安協会についてご紹介すべく、WattMagazine編集部が同社の技術研修所へ潜入。後編では技術研修所について、レポート形式でご紹介します。
テレビCMでお馴染みの「関東電気保安協会♪」はどんな仕事をしているの?編集部が研修施設に潜入!【前編・インタビュー】
関東エリアにお住まいの方なら、テレビCMで「関東電気保安協会♪」というフレーズを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただ、実際にどんな仕事をして…
目次
技術研修所は何のための施設!?
千葉県千葉市に位置し、敷地面積はなんと30,000㎡という広大な技術研修所は、1998年に開設されました。電気保安に関する技術者を育成するため、次の3つの目的で利用されています。 ・関東電気保安協会の職員に対する技術研修 ・電気保安に関する講習会・セミナーの開催 ・電気保安に関する試験の実施 最新設備が整っている技術研修所では、電気保安に関するさまざまな技術を学んだり、充実した実習施設で設備を操作しながら学んだりすることができます。また、関東電気保安協会の職員だけでなく、一般の電気技術者や電気保安に関する知識を身につけたい人も利用できるのです。
技術研修所ツアーへようこそ!
ここからは、技術研修所の施設をご紹介!
①発電設備室へ
始動音も保守点検項目も、ディーゼルエンジン車の点検と同じ!エンジン車が好きな編集チームのスタッフは大興奮です。
②電気主任技術者のメイン業務である高圧受電設備の訓練施設
キュービクル(Cubicle)とは、「立方体」という意味のキューブ(Cube)から派生した言葉です。「小屋」「箱」「小さく区切った空間」といった意味もあり、実際にキュービクルは金属の箱を入れ物とし、高圧受電用機器を、金属製の箱(キュービクル)内に、コンパクトに納めた受電設備のことを、「キュービクル式高圧受電設備」と呼んでいます。 研修用のキュービクルは実際に6600Vで充電することが可能です。
最近は設置場所が小さく、保守点検作業が容易にできるキュービクル式の高圧受電設備が増えているため、写真のような開放型の受電設備が減りつつあります。檻ではありませんよ!
中に入るとこんな感じ。導体がむき出しになっている部分もあり、非常に危険なため、電気を通電している状態では絶対に近づけません!電気の設備は多種多様なので、ニーズに合わせて研修用にさまざまなタイプの設備を用意し、円滑な点検が実施できるように日々訓練されているそうです。
③電気機器カットモデル
高電圧の機器は金属の箱に覆われているため、普段は内部を見ることができませんが、ここでは、機器の内部構造を知ることができます。設備に不具合が発生したとき、原因を特定するためにも構造を知っておくことが重要なのです。
高圧電気は怖くない‥?
通常の点検は停電して実施するので、予め計画された作業のとおりに実施すれば感電の危険はありません。とはいえ、高電圧は危険を伴うため、気持ちが引き締まるそうです。新入社員は入社後、この研修施設でしっかり安全教育を受け、そこから現場に出向くそうです。現場に入ってもすぐに機器に触れることはなく、まずは作業準備のお手伝いをしながら先輩の姿を見て、作業のイメージができた段階で機器に触れていきます。
様々な安全用具があり、労安法でも使用が義務付けられています。自分の体を保護する物が「保護具」。充電している箇所から感電を防ぐために取り付けるものが「防具」です。
一般住宅を模擬した施設を発見!
関東電気保安協会様は、法人向けの保安管理業務のほかに、電力会社からの委託を受けて、個人のお客様向け(定期調査業務)に、原則として4年に1回、お客さま宅を訪問して、使用中の電気設備が技術基準に適合しているか否かの確認を行っています。この模擬家屋では疑似的に漏電を発生させることができ、漏電箇所を調査・特定する訓練をされているそうです。ここでは技術面だけでなく、お客様に親切丁寧な対応ができるよう、玄関先での会話などのマナー訓練も行っています。
編集チームも体験!高電圧機器を操作せよ!
ツアーの終盤、実際に高電圧機器の操作(停電した状態です)を体験させていただきました。高圧の機器は、低圧の機器に比べて危険が伴いますので、漏電や発火などの事故を防ぐために、十分な強度と耐久性を持たせなければなりません。そのため機器自体が大きく、低圧の機器に比べて扱う際は少し力が必要になりますが、女性でもコツを掴めば問題なく操作できます。
コツを教えてもらうことで、すんなりと操作が完了。ドキドキしながら体験しましたが、終始、職員の方が隣でレクチャーしてくださったので安全に対応できました。広々とした敷地には、充実した施設が整備されており、電気設備の保守・点検に関する知識や技術を習得するための環境が整っていました。
まとめ
現在は、太陽電池発電設備の点検手法やさまざまなセンサー類の導入を検討するなど、電気主任技術者不足を解消する取り組みを進められているとのこと。電気主任技術者不足の課題を解決するために、WattMagazineでも業界の認知度を高め、多くの人に興味を持っていただけるような情報を発信していきたいと思います。