電気の資格のアレコレ
電気工事士の資格を取りたい!資格取得に必要な知識とスキル
「電気工事士の資格に興味があるけど、実際にどんなことを勉強するんだろう?」この記事では、資格を取得する際、具体的にどのようなことを学ぶのか、図解と合わせてわかりやすく解説します。
目次
電気工事のために必要な知識〜電気の仕組みや道具編〜
まず、懐中電灯に灯がつく仕組みについて解説しましょう。 乾電池は+(プラス)極から電球に電気が流れますが、懐中電灯はスイッチを入れるとそのまま乾電池の反対側のー(マイナス)極まで流れます。この流れが電球を光らせているのです。逆に、電球が光っているときにスイッチを切ると、乾電池の+極から出た電気が-(マイナス)極まで行かなくなり、電気が流れなくなります。
このように電気は、常に電気を作るところ(乾電池や、発電機)から負荷(懐中電灯では電球)を通り、電気を作るところに戻ることで、「光る」「動く」といった動作や現象を起こします。私たちの家庭の電気も同じように、電力会社の発電機から送られて来た電気が負荷(照明器具や洗濯機など)を通って発電機に電気が戻ることで使うことができるのです 電力会社から送られてくる電気は、照明器具を点灯させたり、電子レンジで食品を温めたり、全く違う使い方をすることができますが、これだけの大きな電気を安全に使うには、エネルギーを安全に制御しなくてはなりません。大きな電気を取り扱う際は、電気が通る電線を太くしますが、使う電気の大きさで電線の太さも異なるうえ、必要以上に太い電線を使用すると電線の価格が高くなり不経済です。電気工事士は、これらに関する知識と技術を持ち、工事によって適切な配線をするのが主な業務です。以下より、電気工事士が取り扱っているケーブルや器具、道具とその使用方法の一部をご紹介します。実際の試験でも出題されますので、ぜひご覧ください。
主な電線やケーブル
電線には、銅線に絶縁物(ビニル等)で覆った絶縁電線と、その絶縁電線の上からもう一度絶縁被覆(外装:シースともいう)をしたケーブルがあります。
電線やケーブルの固定方法
絶縁電線は、一般的に電線管の中に入れて外部から保護をして使用します。絶縁電線を収めた電線管はサドルと呼ばれる留め具を使用して壁や柱に固定します。
ケーブルは、ステープル(留め具)にて直接木造の壁や柱に留めて、安全に固定します。
電線やケーブルの固定の際に使用する道具
電線の被覆を剥くには、ニッパーや電工ナイフ、ストリッパなどを用います。また、電線と器具(コンセントやスイッチ、照明器具)を結線するにはドライバーを使用します。
電線やケーブルの接続
電線どうしを接続するには、接続用の器具のリングスリーブや差込形コネクタと呼ばれるものを使用します。リングスリーブにて接続するには専用の圧着ペンチを用いて接続します。
接続作業は安全に通電(電気を通す)するために、それぞれの器具や工具の特徴や使用方法を十分理解しておく必要があります。 また、電気工事の作業をするにはたくさんの法律があり、「電気設備の技術基準を定める省令」「電気設備の技術基準の解釈」及び民間規定である「屋内配線規定」に準じて、電気工事士は「電気工事士法」に沿って作業を行います。作業をするときに使用する器具や電線は「電気用品安全法」の規定に準じた安全な器具等を使用するなど、ルールを知らないと事故が起きる原因にもなりますので、電気工事士はこの内容を把握した状態で作業を行います。実務の知識のみならず、試験では法律に関する問題お出題されます。
工事完了後の確認
工事が完成したら「完成検査」を実施します。完成検査をするには「回路計(テスター」「絶縁抵抗計(メガー)」「接地抵抗計(アーステスター)」などの計測器を十分使用できるように訓練します。
電気工事のために必要な知識〜配線図編〜
ここからは配線に関する知識についてご紹介します。 ① 電気工事を行う際は、依頼主と打ち合わせ、工事をする場所の図面(平面図)に電気工事でコンセントや照明器具および照明器具を点滅させるスイッチなどが記載された、次のような電気図面(単線図)を作成します。
② 電気図面の単線図の図記号から、必要な器具を選びます。 例えば、図面の左下に「2WPLK」と記されていますが、これは屋外に設置する防雨型(コンセントが雨などにかからないようカバーがされているタイプ)の2口(2個コンセントがある)で抜け留め形(抜け防止がついている)のコンセントを表しています。また左上には「ソ」と書かれていますが、この図記号は壁に取り付ける蛍光灯を表しており、図面から屋外に設置されていることがわかります。つまり、屋外用の防雨形壁取付けタイプの蛍光灯を準備するということです。 この図面から、各々の器具をケーブルで結線しますが、全て天井の裏にある電線(ケーブル)を通して結線しなければならないため、その作業ができるように準備をします。電線(ケーブル)同士の接続は先ほどご紹介したリングスリーブによる圧着接続と差込形コネクタを使用した接続方法がありますので、接続方法をもとに事前準備が必要になります。
電気工事士の試験で問われる知識
電気工事士は実際に器具を取り付けたり、電線(ケーブル)を接続したりする仕事のほか、重大事故が発生しないように「電気設備に関する技術基準を定める省令」「電気設備の技術基準の解釈」そして「内線規程」に準じた工事ができる知識に加え、作業の訓練も必要です。電気工事士の試験は「学科試験」と「技能試験」に分かれ、それぞれ以下の知識を問われます。 <学科試験> ・ケーブル/工具/器具の種類や使用方法 ・電気に関わる法律 ・電気に関わる計算 ・配線図/複線図の読み取り ・工事の種類や工事方法 <技能試験> ・実際の器具やケーブルの取り付け作業 電気工事士の試験には「学科試験」と「技能試験」があり、「学科試験」に合格すると約1~2か月後「技能試験」があります。「学科試験」は、約9割が以前に出題された問題の類似問題や少し順番入れ替えたような問題が出題されますので、まずは基本的な項目を勉強し、そこから2~3年分の過去問題を何回も解いていくと7割くらい解答できるようになります。合格基準点は60点のため、総問題数50問中30問以上正解すれば合格です。 独学でも学習できますが、時間がない方は要点がまとまった書籍や授業付きの学習ツールで時短学習に取り組みましょう。
まとめ
電気工事士が実際に使用する道具や材料、図面などから、少しでもイメージしていただけると嬉しいです。
プロフィール
TAC電気工事士講座 三原 政次(みはら まさじ)講師
1950年鹿児島県生まれ。東芝テクノネットワーク(株)を経て「オフィスみはら」として電気工事や家電製品についての講師業を開設。現在は大学非常勤講師、企業講師としても活躍中。
私たちの暮らしを支える電気〜電気にかかわる人々その仕事と内容とは | 知られざる電気業界の企業や人の魅力を高校生・大学生・親・先生に伝えます
私たちは自宅や学校、会社、工場などで、当たり前のように電気を使用しています。電気は、熱や光、動力などに変換し、身近なところでいうと、たとえば、エレベーターやエスカレーターに多くの人々を乗せて移動させるほどの大きなエネルギーを持っています。とくに会社や工場は電気の使用量が多いため、電力会社から6,600V(ボルト)の大きな電圧で電気を供給してもらい、100Vや200Vまで落とした状態で使用しています。このように、誰もが電気を安全かつ簡単に使用できるのは、配線工事や照明器具、コンセントなどの機器の接続などを、法律通りに工事する人や、工事中や工事後を管理・監督する人がいるからです。この記事では、電気にかかわる仕事について詳しく解説します。
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