電気回路に欠かせないリレー回路とは?接点の特徴や素子の種類も解説!

更新日:2024.08.13投稿日:2024.08.13

電気の現場で多く使用される「リレー回路」。今回は単純でありながら重要な働きをするリレー回路について、基本的な接点の種類や動作原理、活用のテクニックなどを解説します。

リレー回路とは

リレー回路とは、リレー素子と呼ばれる素子を用いて構築する回路の総称のことで、電気信号が次々につながっていく様子がリレーのバトンをつないでいく様子を想起させるため、この名前で呼ばれています。代表的な使い方としては、大きな電力回路を少ない電流信号で操作するスイッチング動作や、後に解説するa接点やb接点を組み合わせた論理回路の構築、一次回路と二次回路の絶縁、1つの入力から複数の出力を出す多出力回路の構築などがあります。

リレー回路を構築するa接点・b接点・c接点とは?

リレー素子は、その接点動作により大きく3種類に分かれます。まず制御信号が加わっていない状態で接点が開いていて(絶縁状態)、制御信号が加わると接点が閉じる(導通状態)接点をa接点と呼びます。a接点は他にもメーク接点やNO(ノーマルオープン)接点といった名前でも知られています。

これに対し制御信号が与えられていないうちは接点が閉じていて(導通状態)、信号が与えられると接点が開く(絶縁状態)接点をb接点やブレイク接点、NC(ノーマルクローズ)接点と呼びます。そして、a接点とb接点を組み合わせたように制御信号が与えられると一方の回路が絶縁し、もう一方の回路を導通させる接点をc接点またはトランスファ接点と呼びます。

リレー素子の構造と原理について

リレー素子はその構造と接点の作動原理により、有接点リレー(通称ハードリレー)と無接点リレー(通称ソフトリレー)の2種類に分けられます。

機械的な接点構造を持つハードリレー

ハードリレーはコイルに電流を流すと電磁石として振る舞うことを利用し、電磁石に引き寄せられた鉄心が接点を機械的に動かすことで回路を導通または絶縁する素子です。機械的な構造であるため、劣化や摩耗による故障が起こりやすく、素子自体も一定以上の大きさが必要となるものの、汎用性が高く安価なのが特徴です。また無接点リレーに比べると大電力や高電圧にも強いため、電力回路などに多く使用されています。

半導体素子を利用したソフトリレー

ソフトリレーはトランジスタやMOS FETなどの半導体素子を利用したリレーのことで、SSR(ソリッドステートリレー)と呼ばれることもあります。機械的に動作する機構が存在しないため、高寿命で信頼性が高く、動作速度も早いのが特徴です。また素子自体が非常に小さく集積化にも向いており、複雑で高速な論理演算が必要な場合に重宝されます。ただし半導体素子を使用しているため、サージ電流や高温な環境には弱く、設置環境には配慮が必要です。

リレー回路の実践に必要な自己保持回路とは?

リレー回路を機器の始動回路などに使用する際には、自己保持回路と呼ばれる回路が必須です。自己保持回路は名前の通りリレーの励磁状態を保持する回路のことで、押釦などで一度リレーが励磁されると、そのリレー自身が押釦の代わりに自身を励磁し続けます。これによって、人間が押釦を離しても、停止信号が与えられて自己保持が解除されない限り機械が動作し続ける回路が実現可能となるのです。ちなみに、停止信号を与える部分を間違えると、励磁状態が解除できない回路ができあがるため、回路設計の際は十分に注意しましょう。

まとめ

リレーの使い方や回路構成には正解がありません。事業所やシステムによってルールが決まっている場合もあるので、基本的な動作を理解することはもちろんのこと、設計思想も含めて理解できるように、さまざまなリレー回路を勉強しておきしょう。

プロフィール

佐藤竜騎
2017年4月に某大手石油化学工場へ就職し、現在まで電気・計装設備の保全・更新計画の検討/立案から工事の実行まで一貫した業務に従事。携わった機器/システムは、分散制御システム(DCS)、流量/液面/圧力/温度の検出/制御機器類、ガス漏洩検知システム、プロセスガスクロマトグラフィーやpH計を始めとする各種オンライン分析計など多岐にわたる。現在は副業として電気/電子分野の専門知識に特化したウェブライター活動にも精を出している

保有資格:第3種電気主任技術者、第二種電気工事士、認定電気工事従事者、高圧ガス製造保安責任者(甲種機械)、工事担任者(AI/DD総合種)、2級ボイラー技士、危険物取扱者乙種4類など

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