衝撃!小学3年生女子が第一種電気工事士に合格~電気新聞記者がその軌跡を取材~

更新日:2025.03.10投稿日:2025.03.12

福島県の小学3年生、石川禾奈子さんが第二種電気工事士と第一種電気工事士の試験に合格しました。今回はその合格までの苦労や思いを電気新聞の林 史子記者に伝えていただきました。

電気工事士不足を救う救世主?業界内外から注目集まる

電気設備を扱う際に欠かせないのが「電気工事士」の資格。普段、コンセントや分電盤の取り付けに必要な資格で、一般家庭からビル、工場まで様々な建築物で電気工事士が活躍している。安心安全な電気の利用を支える重要な仕事である一方で、近年は人手不足が深刻化している。

そんな中、このたび小学生の試験合格者が新たに誕生した。東陽電気工事の石川禾奈子さんだ。第二種だけでなく、さらに難易度が高いとされる第一種にも合格。新聞やテレビでもこの快挙が取り上げられ、業界内外から注目が集まっている。

小学3年生にして第二種、第一種の電気工事士に合格した石川禾奈子さん

電気工事士の試験はどんな資格?

電気工事士は一般家庭やビル、工場などの電気工事に必要な国家資格だ。

第二種は低圧で受電する一般家庭の屋内配線設備や小規模な太陽電池発電設備などの工事に従事できる。第一種は第二種の範囲に加えて、高電圧で受電する小規模なビル、工場の電気設備なども担当できる。

試験は両方とも選択式で、学科試験と技能試験の2段階。学科試験はマークシートに記入する筆記方式か、パソコンで解答するCBT方式が選べる。

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きっかけは「皆を引っ張っていく社長になりたい!」

東陽電気工事は福島県西郷村に本社を構え、電気工事、電気通信、消防設備の3業種を手掛ける。

小学3年生の禾奈子さんは石川格子社長の一人娘だ。禾奈子さんが電気工事士の資格を取ろうと考えたのは、同社の社員が現場で活躍する姿を目の当たりにして「いつか大人になったら皆を引っ張っていく社長になりたい」と思うようになったのがきっかけ。「現場で作業したい」とも感じている。

「読めない漢字」「足りない握力」小学生ならではの苦労とは?

試験に向けて、小学生ならではの苦労もあった。

学科試験は読めない漢字が多数。技能試験は複線図の問題が難しかったほか、ケーブルをまとめる「リングスリーブ」という部材をつぶすのにも筋力が必要で、一筋縄ではいかなかった。問題の読み上げで大人の手を借りつつ1日2時間学科試験の勉強をしたり、ハンドグリップで握力を鍛えたりと努力を重ねた。

筋トレを通じた握力強化など、様々な試験対策を行った禾奈子さん

社員も積極的に禾奈子さんをサポートし、放課後の時間を使って試験対策を実施。石川社長も試験内容の指導にとどまらず、禾奈子さんが時間をうまく使えるよう児童クラブの送り迎えなど様々な面から支えた。また、社内のみならず、東陽電気工事をパートナーズ会社とする東光電気工事の社員も、けがをせず安全に取り組む方法を禾奈子さんに教えた。

こうした努力の甲斐あって、禾奈子さんは2024年8月に第二種電気工事士に合格した。さらに、同年12月には第一種電気工事士にも合格。半年足らずのうちに連続して快挙を成し遂げた。

大人にとっても難しい試験を乗り越えた禾奈子さん。合格の知らせを受けた社員や親族は非常に喜び、同じ資格取得に向けて頑張っている人たちにとっても励みになったという。人手不足が叫ばれる中で、電気工事業界にとって明るい未来を感じさせる話題となった。

プロフィール

林 史子記者

2018年入社。中部総局などを経て現在、電気工事、電気設備の保安業務、送配電といった分野を担当する。フットワークを生かして各地の現場を訪れ、きめ細かな取材でタイムリーな記事を多数発信している。

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