電気なデンキ。日本初エレキテルの復元を遂げたイノベーター・平賀源内 その5

更新日:2020.05.19投稿日:2020.05.19

好奇心の赴くままに、自分のやりたいこと、興味のあることに熱中してきた源内。今でいう”フリーランサー”として活躍を続けます。

二度の脱藩、フリーの事業者へ

江戸時代は半ば。当時の日本は金・銀・銅をはじめとした原料や資源の輸出国となっていました。しかし、人口が急激にふえたこと、資源が枯渇してきたことにとり、新規事業の創出や新たな施策が必要に。そこで、普及と発展を遂げてきた蘭学をもとに、輸入品の国産化を進めようとします。 そのとき、源内は本草学者として名をあげ、高松藩の薬坊主格となったものの、国内を自由に行き来するのは藩の許可が必要であることに不便を感じ、なんと脱藩。高松藩は源内を「仕官御構(おかまい)」という処され、幕府や他の藩への仕官を禁じられてしまうのです。 所属する藩がない=今でいうフリーランス(のような状態)。しかし源内はフリーという特権を生かし、さまざまな事業を立ち上げていきます。

短期間で次々と新規事業を興す

脱藩後の源内は次々と新規事業を興します。成功したか否かはなんとも言い難いものの、事業を興すということは、多大な労力と知識、そして何よりもアイデアが必要です。今の時代、彼のようにおよそ2年ごとのペースでここまで立ち上げている起業家はいるでしょうか…? 1762年 源内35歳 東都薬品会主催 1300種の物産を集めた博覧会 1764年 源内37歳 防災繊維で火浣布(燃えない布)を作り、幕府に献上。ただし技術が追いつかず、ビジネスとしてはうまくいきませんでした。この際、「火浣布略説」を執筆。 1767年 源内39歳 資金調達を行い秩父の金山開発に着手して金の産出による一獲千金を狙うも幕府から中止令が発令される。 1770年 源内43歳 度目の長崎行のおり数頭のヒツジを買い入れ、これを郷里志度の知人へ送り飼育を依頼。志度で羊毛をつむぎ、「国倫(くにとも)織」と名付けた。 1771年 源内44歳 長崎遊学のときに目にした天草陶石の素晴らしさを記すべく、西国郡代に建白書「陶器工夫書」を提出。 1773年 源内46歳 中津川鉄山で鉄の精錬事業を開始するものの、失敗。鉱山は閉山。一説によれば現在の金額に換算して20億円もの赤字を出したのだとか。 1774年 源内47歳 借財返済のため、小間物販売や戯作、商品の宣伝文などの創作に取り組む。炭焼事業、荒川通船工事の指導も。 1775年 源内48歳 長崎から持ち帰った摩擦起電器「エレキセエリテイト」の復元に着手。革を模した紙金唐革紙(きんからかわかみ)を開発、根付けなどの細工物を含む商売を開始。 1776年 源内49歳 長崎へ訪れた際に持ち帰った大量の伽羅の木。伽羅の木というのは香木でいい香りが漂うため、この香木で作られた櫛は高級とされてきました。源内はそれをもう一工夫します。棟の部分を銀で飾ってさらに高級な櫛を開発、宣伝しました。宣伝にあたり起用したのは吉原の遊女。源内櫛は大ヒットを記録しました。 1777年 源内50歳 「エレキセエリテイト」の復元に成功し「エレキテル」と名付けて公開。 同時期に『長枕褥合戦(ながまくらしとねかっせん)』を発表。

ちょっとやそっとじゃへこたれない

事業が失敗して多額の借金を抱えることになっても、常に挑戦を続けてきた平賀源内。たとえ利益にならなくても、自分の好奇心を満たしてくれる事業に注力し、自分らしく生き抜いてきたイノベーターだと言えるのではないでしょうか。

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